ポピーインタビュー(Vol 2 山形県老人福祉施設協議会会長・峯田幸悦氏)
第2回目の今回は峯田幸悦氏(山形県老人福祉施設協議会会長・ながまち荘施設長)にうかがいました。
『身体拘束をやめようという視点にたてるかどうか』ということです。身体拘束をどうしたらやめることが出来るのか一緒に考えていきたいと思っています。
私のかつての同僚Eさんが癌で亡くなりました。彼が癌の末期と分かり入院した時のことですが、私がお見舞いに行ったときEさんはベッド上で身体拘束されていました。なぜ、癌の末期の人間をベッドに縛らなければいけないのか。なぜなのか。私は悲しい気持ちになりました。Eさんは私に「嫌だね。この状況になってよくわかる」「トイレに行きたい、誰か連れて行ってほしい」と言っていました。そして、私がしようとしているオムツ0などの取り組みは正しいことだと思うから進めていってほしいと私に言ってくれました。その後Eさんは亡くなりましたが今でも私はこの時のことを忘れることが出来ません。
身体拘束には個人の尊厳はありません。医療と介護とともに「身体拘束をやらないようにしようね」と同じ方向をみていかなければなりません。どうすれば拘束をせずに済むか、どうしなければならないか専門的知識を学び、研究していきたいと思っています。現在、身体拘束ゼロを考える会というものを考えています。
- 現在も社会の中で、地域の中で、組織の中で様々な取り組みをされていらっしゃる峯田氏ですが、そういった取り組みへの原動力はどこからくるのでしょうか。
小さい頃から、みんなで誰かひとりをいじめていたり、集団で一人をを攻撃するようなことが我慢できませんでした。「ひとりがかわいそうだから」ということより「集団で」といった集団の力を使うことが卑怯で許せないのです。そういった状況をみると、自分がその大勢や集団に「何故そんなことをするのだ」と立ち向かわずにいられませんでした。今もそういった芯の部分は変わっていません。いじめられている人がいたら見捨てません。
ながまち荘では、全ての基礎・基本は世界一の介護を目指していこうねと言っています。それは目の前の人を置いてはいかない。ひとりひとり目の前の方を大切にしましょうということです。それと「間違っていることは変える」「正しいこと、いいことは続けていく」そのために「どうすればいいか根拠を知る(学ぶ)ことが大切」と考えます。もちろん考えたことは証明していきたいと思っています。力を引き出し、みんなが力を合わせて勇気だそう。そうすればやれるんじゃないか。そう思います。
私は社会学的考察、「人はどうして動くのか」といった社会心理学が好きです。そして行動するためには何が大切か、自分がどうしたいか動機付けがとても大切です。ながまち荘では毎週水曜日に医療と介護について自由にしゃべる会を開催しています。地位や名誉、お金、社会に認めてほしい、そういったニーズを自由にしゃべります。言葉やコミュニケーション能力などの技術トレーニングで自分がこうしたいと思うこと等を自由に話します。誰でも参加できる会です。皆さんにも来ていただきたいですね。
インタビューを終えて
・峯田氏は自立支援を「三途の川を歩いてわたること」と話しており、人間は人生の最期の最期まで自己実現する権利を持つという大切な視点に気づかされました。峯田氏の博識で研究心を持ち学ぶことに熱心な姿。感じたことや考えたことは黙秘せず社会や組織でアクションを起こしていく実行力。そのパワフルな姿の一方で、人間の尊厳を常に考え、弱きものを助けたいという温かみのある優しさも感じられます。今後もこの地域で介護や福祉のリーダーシップをとり頑張っていただきたいと感じました。 (k.u)