Jul 24, 2024

ポピーインタビュー VOL.11 佐伯和毅氏

今回は山形市内の在宅医療に尽力くださっている緑町Kokoro薬局 薬剤師 佐伯和毅氏にお話を伺いました。

ポ) 在宅医療に薬剤師はどのように関わっているのでしょうか?

佐) 自宅で療養されている方や、介護施設に入居されている方にお薬をお届けしています。医師の訪問診療後に医師から指示をいただき薬剤師が訪問するというのが基本です。ただ、訪問診療を受けていない方でも、自分一人で通院できない場合、居宅療養管理指導として薬剤師も訪問することがあります。週1回まで訪問できるのですが、ガン末期の方などは週2回訪問が可能です。当薬局では毎月150~200件、120~130名程の方に対応させていただいております。

ポ)お薬を適切に飲めない方への支援はどのようにされていますか?

佐)薬の種類が多いため自分で管理が難しく、用法通りに飲めないという方が一番多く、そのような場合には一包化したり、お薬カレンダーなどを提供してその後の服薬状況を確認していきます。嚥下状態が悪い方は、薬の形状や大きさによっても飲みやすさが変わるので、錠剤が飲みにくければ同じ効能の粉薬に変更したり錠剤を粉砕するなど、患者さんの生活状況を見ながら対応しています。

服薬状況は、訪問し実際に生活の場を見ることでわかることが多く、お昼ご飯を食べていないから薬を飲んでいなかったなど、訪問に行ってはじめて知ることがよくあります。また、訪問介護や訪問看護の方ですと定期的に入って薬剤師よりも頻繁に訪問されていることが多いので、敢えてそこの時間帯に一緒に訪問することで、色々とお話を聴けたりするんですね。やはり、生活の状況は、ケアマネジャーやヘルパーなどの介護職の方がすごく把握されており、そうした方々から情報を聞いた方が正確で早く、患者さんの適切な服薬へ繋いでいくのに助かっています。

ポ)食事の回数や生活リズム等の生活の状態を把握してアセスメントをし、支援に生かしているのですね。 薬剤師は地域住民(患者以外)とどのように関わっておられますか?

佐)当薬局では、わりと早くから健康サロンを立ち上げていました。月に1回程度、薬局近くの地区のみなさんと交流をしていて、いきいき体操やスライドを用いての健康情報の説明、血圧測定会等をやっていました。コロナも落ちついてきているので、今後、再開する予定です。

ポ)地域の方への健康づくりに取り組む薬局が徐々に増えている印象があります。

佐)健康サポート薬局という制度があり、認定を受けるにはいくつか要件がありますが、薬の相談だけでなくみなさんの健康をサポートできる薬局も増えてきていると思います。

国は薬剤師の仕事を、薬局の中から地域へ出る方へシフトしています。もちろん、処方箋調剤が基本ですが、地域の方の処方箋を応需し、そこから更に在宅医療を利用されている方に向け地域に出ていく、国も地域包括ケアシステムの中で、薬剤師の役割が果たせるよう、そうした方向性を打ち出してきているのではないかと思います。

ポ)地域の支援者(多職種)とどのように連携をしていきたいと思いますか?

佐)顔の見える研修会などは必要かと思いますが、やはり、こちらから在宅の現場に行かないと、薬剤師の実力もアップしないでしょうし、本当の現実的な部分もわかってこないので、そこにまず足を踏み入れる、具体的には訪問介護や訪問看護の方と一緒に、患者さんの家に行くということをやりたいと思っています。既にいくつか始めており、生活状況を教えてもらえるので助かっています。

ポ)一人暮らしや老々介護、身寄りがない等で見守りが必要かと思われる方が増えてきていると思います。そのような方々の生活状況を把握することも課題だと思いますが。

佐)薬剤師単独で行くと、薬の話だけしてあまりわからない部分があります。連携が進むことによって訪問介護の方などから、「今日、お昼に薬飲めてなかったんですけど」といった電話がかかってきたりします。そういう情報交換がどんどんできるようになってくると良いと思っています。

ポ)薬剤師が地域で活躍するためにどのような連携の課題があるのでしょうか?

佐)地域で活躍するという以前に薬剤師や薬局自体の課題として、訪問で薬剤師が不在の場合、店を閉めないといけないなど、時間帯的な拘束が多くあり、不在を避けるため閉店後に夜遅く訪問するという事があります。日中の時間帯に訪問できる薬剤師を補充していく必要があるのですが、薬剤師不足で難しい現状です。あとは、在宅医療を行うにあたり、たまにですが休日や夜間に緊急で対応しなければならないことや、麻薬の扱いもしないといけなくなってきているので、それに対応する薬局、薬剤師が少ないことも課題です。

在宅の研修会はたくさんあり、皆さん、知識は付けてはきていると思うのですが、実際、薬局の中の環境や会社の方針等もあって、日中外部に出られないということがあります。麻薬もそうですが、高度の技術と設備が必要な無菌調剤の処方箋も最近はあり、様々な課題があります。こういった課題は個々では解決が難しいので、薬剤師会でも検討しています。当番制にするなど、様々な立場の薬剤師が協力していけるよう検討していく必要があると感じております。

ポ)薬剤師のお仕事は随分と忙しいと伺いますが、最後に佐伯さんのお休みの時の過ごし方や趣味など教えていただけませんか?

佐)連休が取れる時は、よく家族とディズニーランドに行っています。自宅での過ごし方は、今は、犬と遊ぶことでしょうか。家にチワワが2匹います。色がカフェラテのように茶と白なので、ラテ、モカと子供達が名付けました。あとは、ランニングでしょうか。毎年、まるごとマラソンに出ています。約20kmの市内を走るハーフマラソンですが、当薬局もコースに入っていて丁度登り切って下がってくる大変苦しいところなのですが、地域の方や患者さんが見ていらっしゃるので、ここを通るときは笑顔で走っています(笑)。初めは医師の方と一緒に出たりもしていました

ポ)プライベートまで、多職種連携なのですね。(笑)

家族旅行(ディズニーランドにて)
愛犬 ラテとモカ

<インタビューを終えて…>

最近、薬剤師の方々との交流の機会が増え、もっと気軽に相談してもいいんだと、薬剤師への印象が変わって来たところですが、本日、佐伯さんからお話を伺い、更に身近に感じられるようになった気がします。今後の地域での更なるご活躍を期待しております。

お忙しい中でのインタビューのご協力、ありがとうございました。

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